私はいつも 自分の作業台の下の棚に カメラを置いている。 仕事中に度々出くわす シャッターチャンスを逃さないように。 これは今日の出来事 それを知っているシェフが私に言った。 「これから新しいものを見せるから カメラを準備しておけよ」 何だろう、変わった料理でも作るのかな? お客の少ない営業時 ポストレのオーダーを出す以外は 自分の作業場で仕込みを続行している私は 今日はパスティス・ポーマ(アップルパイ)を仕込みながら シャッターチャンスを待っていた。 しばらくして 「トモコ、今だ、カメラ、急げ!」 来た来た!私はカメラを手に 一目散にシェフのもとへ走った。 アルミホイルに包まれた料理 中に入っていたのは 小振りのトリュフが丸ごと1個! 豚バラ肉の首の部分 ジャガイモのピューレ、小ネギとともに ホイルに包みオーブンで焼いたのだ。 従って ホイルの中の食材には 全てトリュフの薫りがしっかりと移る。 そんなことは当たり前だが トリュフ自体はどうなるのか? シェフはおもむろにトリュフを取り出し ニンニクを潰すように 寝かせた包丁を押し付けた。 するとその黒い塊は ホクホクーッと、いとも簡単に崩れてしまった。 その瞬間にフワッと立ち上がった トリュフの湯気! こんなトリュフを見たのは初めてだ。 脂のとろける豚肉の上に ホクホクのトリュフ ジャガイモのピューレ ホイルの中の美味しいエキスも 一滴も残さずにかけて いやあ、贅沢だ。 ちなみにこれを食べたお客は 1人で訪れた紳士 トリュフ尽くしのコースメニューを注文したのだった。
by tomo114t
| 2007-03-02 07:34
| エルス カサルス
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