バスクバンザイ! 4

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まずは食前酒と共にチョリソをつまむ。
マイルドな辛さで脂のしっとりとしたサラミタイプ。
その後メヌー・デグスタシオン(コース)が
憧れのドンペリニョンと共にスタートした。

それは96年のものだった。
ということは10年も経っているのか。
その月日の経過を感じさせない若々しさと瑞々しさを持っていながら
できたてのワインにはない風格も合わせ持つ。
フレッシュな若いリンゴの洋酒漬けのような...
そしてキレのある泡。
グラスに耳を傾けるとチリチリッと幸せな音がして
ハア、良いシャンパーニュを飲んでいるんだ
という静かな実感に満たされていく。

突き出しに
自家製の羊のチーズ
真っ白でミルキーなチーズとトリュフを何層にも重ねた
白と黒のミルフィーユ。

その後は全てア・ラ・ブラサ。

まずはカマロンという海老の炭火焼き。
長さ8cm程で、通常のカマロンよりも随分大きいそうだ。
皿の中にあるのは焼いた海老のみ。
鼻を近付けると、フワッと薪の香りをほのかに感じる。
身は甘く、殻も香ばしく美味だったので
私はまず殻を剥いて身を食した後に殻も全て食した。

その次に牡蠣のア・ラ・ブラサ。
こちらでは牡蠣といえば生なので
加熱した牡蠣というだけでも皆は驚きだ。
牡蠣の下にはワカメが敷かれていた。
絶妙な火の入り具合、牡蠣そのもののピュアな美味しさ
ワカメと共に食べるとさらに「海」を感じる。
一同唸った。

野菜の炭火焼きへと続く。
大きな黒トリュフのスライスをのせて
大地の恵みそのものを味わう。

その次に出てきたのは
私がぜひ一度食べたいと思っていた
今や幻の高級食材。
念願叶う!










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ウナギの稚魚のア・ラ・ブラサ。

バスクの伝統料理でこの稚魚の煮込みというものがあるが
このシェフは新鮮な稚魚をさっと炭火で焼く。
稚魚とはいえどもウナギ
1匹でも栄養たっぷりであろうものが
ひと皿にこんもりと30匹くらい盛られて出てきた。
何て贅沢な!
白いパスタのようなウナギを
4、5匹一度にほおばると
口の中で軽くまとわりつき
魚のコラーゲンたっぷりの麺を食べているような感覚だ。
やはりほのかに香る薪の香りと
ニンニクと唐辛子のオイルをかけてあるそうで
そのピリッとした味が絶妙なアクセント
はるばる来た甲斐があった
寿命まで伸びそうだ。

ひと皿にのる食材は最高でも3つが限度。
「ア・ラ・ブラサ」という技法を介し
真っ向から食材と向き合える。

次の皿
鯖の炭火焼きも
ウナギの稚魚同様に忘れられないひと皿だ。
高価でも珍しくもない魚
しかしこんなにもジューシーでピュアで
もっともっと食べたい!と思える焼き鯖が他にあるだろうか。
炭火を前に黙々と食材を焼き続けるシェフの姿が目に浮かぶ。

そしてヒメジの炭火焼き。
大きな美しい色のヒメジ。徹底した素材重視。

メヌー・デグスタシオン最後のひと皿
ガリシア牛のあばら肉のア・ラ・ブラサ。
前日シドレリアでも食べたバスク地方定番のご馳走。
葡萄の木の薪で焼いたジューシーな肉を
リオハの赤、RODAのCIRCIONというワインと共に堪能。

コースの料理はここまでだった。
しかしもっと食べたい!一行は
もう二皿追加注文を申し出たのだ。
私のお腹はもう十二分に満たされてはいたが
皆と行動を共にする以上は、ご相伴に与るしかない。

バカラオ(塩ダラ)のア・ラ・ブラサ。
バスクでは煮込みが定番のバカラオを炭火焼きで。
より素材の自然な味が表現されている。
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どの皿もそうだが
余分なものが一切ないので
バカラオを食べているときは
この世に自分とバカラオしか存在しなくなる。
シェフの素材に対する情熱が
そのまま皿にのって出てくるからなのか。

最後にもう一度牛のあばら肉を取り分けて
思い残すことは何もない。

ポストレ

トリッハ(フレンチトースト)
レチェ フリッタ(ミルクのクリームまたはカスタードクリームに衣をつけて揚げたもの)
この2つは伝統的なポストレ。
それに添えられた
コーヒーカップに入ったチョコレートのスープ
レチェ レドゥシーダのジェラート。

このジェラートにはびっくりした。
レチェ レドゥシーダ leche reducida というのは煮つめた牛乳のこと。
薪の火の上でゆっくりと煮つめて濃縮した牛乳で作ったジェラートだ。
コンデンスミルクとも違う独特の濃厚さにほのかな薪の香り
エチェバリに相応しい、究極のジェラートと言えるだろう。

調理法のためかサービスもゆっくりで
4時間に渡る昼の宴であった。
フーッ、うなだれる一行...

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オリオールはテーブルで
エルス カサルスを「カタルーニャのエチェバリ」と表現した
食評論家に電話をかけた。
今エチェバリで食事を終えたところだ...と。
そしてこう言った。
「自分がカタルーニャのエチェバリだなんておこがましい。
あと10年先にこんな料理が作れるようになっていたい」

オリオールとビクトルは最後に固い握手をかわし
私達はバスクをあとにしたのだった。

600kmの道程を経て、再びカタルーニャへ

(帰る途中のドライブインで夕食をパクつく男性陣、信じられない!)

というわけで

バスクも、バンザイ!!


終わり。
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by tomo114t | 2006-03-20 08:25 | 旅行
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