日々のポストレ

以前の記事「ある日の失敗」での
失敗したフランをミキサーにかけて急きょ「ナティージャ」なるものを作った
という話をご記憶だろうか。
辞書によると「柔らかいカスタードクリームで、デザートとして飲む」
私はその「ナティージャ」というポストレを
見たことも食べたこともなかったのだが
先日近所のスーパーでようやく見つけることができた。
家庭用インスタントのナティージャだった。
これは是非試さなくては!即購入した。

プロフェッショナルなポストレを作るための技術向上に日々励む傍ら
チープな「庶民のおやつ」を知るのも
私にとって大切な勉強のひとつ。
そこに潜むものは
この土地の人々の心に染み付いた「甘いものへの思い入れ」
それを少しでも解りたいからだ。

これがそのナティージャの箱
「マンダリン」というメーカーで、コテコテ中国人の顔がブランドマーク。
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インスタントなだけに作り方は至って簡単
沸かした牛乳に溶かして混ぜるだけ。



白い粉末のナティージャは
牛乳に溶かすとたちまち黄色くなり
まさにゆるいプリンのようなものが出来た。
シナモンを振ってビスケットを添えると説明書きにあったので
うちにあったリングのようなクラッカーを添えた。

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なるほど子供に食べさせるのに手頃な感じだ。
これを作りたての温かいところにブランデーを加えて食べれば
大人向きの冬のポストレにも成り得る気もするが
そんなことをする人は多分いないのだろう。

カタルーニャ人が日々家で、もしくは安食堂で食べる普段着のポストレとは?
圧倒的に多いのがヨーグルト。
朝昼晩、老若男女、皆ヨーグルトをよく食べる。
もうひとつ代表的なものは
mato マトという名の真っ白なフレッシュチーズにmel メル 蜂蜜をかけた
mel i mato メル イ マト。
マトは山羊乳もしくは牛乳、もしくはそれらの混合乳で作られる
豆腐にも少し似たチーズだ。
基本的に乳製品が非常に好まれて皆多く摂る。

エルス カサルスでは近所の酪農家から牛乳を買ってきて
自分達で煮沸したものを使うのが常だ。
この煮沸した牛乳を鍋のまま放置しておくと
表面に乳脂肪の膜ができる。
カタルーニャ語でtel de llet (tel 膜 llet 牛乳)
スーパーで買った牛乳にはないこの「膜」を見て皆が言うことは
「子供の頃はよくこれをおやつにして食べたなあ。トーストにのせて、砂糖をかけて」
ここに彼らの持つ懐かしい甘い記憶があった。

シェフ オリオールはこの膜でジェラートを作ることを思いついた。
それは自動的に私の仕事となる。
先日も2人でレシピの再調整をしたばかりだ。
洗いたてのコットンのように真っ白、
この上なくミルキーで、ほのかな甘さ。
度々訪れる食の評論家達に大好評だ。

私の中の「甘い記憶」は...
ヨーロッパに住み始めて以来
冬になると恋しくなるものがある。
それは幼い頃家でよく飲んでいた「甘酒」。
米麹の粒がたっぷりで生姜の効いた甘酒をおばあちゃんとこたつの中で飲んだ。
思い出すだけで心も体もホカホカしてくる。

あなたの「甘い記憶」は...?
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by tomo114t | 2005-12-12 07:12 | 食のこと
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