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バベットのように

夏の盛り
私がまだギブスの腕で療養中だった頃
映画「バベットの晩餐会」を観た。

自分で料理ができなくて
毎日昼食をご馳走になっていた
フェランとモンセの家では
食後もすぐにはおいとませずに
ソファに寛いでテレビを見たり、うたた寝したり
なんてことも少なからずあった。
そんな調子で、好きなDVDを観てもよいと言われたある日
それじゃあお言葉に甘えて、と
以前から観たいと思っていた映画を選んだ。

途中で2人は家を出る時間になったが
「僕達は出かけるけど、君はゆっくり観てていいからね。
ドアはオートロックだから、出るときにしっかり閉めれば大丈夫」
と言ってそれぞれ仕事に用事にと出かけて行った。
主人不在の家で1人映画を観続けた私...

元々はパリの有名なレストランのシェフだったバベット
不幸に見舞われてパリを去り
ある信心深い老姉妹の家の召使いになった。
神父であったその老姉妹の亡き父の生誕100年を祝うディナー
それが「バベットの晩餐会」である。

バベットは晩餐会の準備のために休暇をもらい
食材調達の旅に出る。
そして持ち帰った珍しい食材を見て
どんな料理を出されるのかと不安で一杯の老姉妹
晩餐会はぎこちないムードでスタートした。

しかし彼女の素晴らしい料理を口にして
心がときほぐれていく招待客達
最後は輪になって踊り
故人を偲ぶ最高の記念日となった。
これが「料理の力」であり
「料理人の使命」であるのだ。

そして彼女は宝くじで当てた大金を
全てこの一晩のディナーに使い果たしてしまったのだ。
驚く老姉妹の前に彼女は平然としかし力強く言った。
「お金が無くたって、アーティストは貧しくない」と。
仕事を終えて満足げに
厨房で1人ワインを飲むバベットは
とても素敵だった。

そして私はフェランとモンセに提案したのだ。
私の腕が治った暁には
「バベットの晩餐会」をやりましょう!と。
ひと夏中ずっと作ってもらっていた分
今度は私が皆のために全て料理する食事会を
ちょっと及ばないけど、バベットのように...

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by tomo114t | 2006-10-28 07:53 |

カタルーニャバンザイ!な旅 6

旅の話の前に
ひとこと弁解させて下さい!(笑)

しばらく更新が途絶えてしまい
覗きに来て下さっている皆様、失礼いたしました。
ここのところずーっと忙しくて...
原因のひとつには「キノコ」もありますが
寝る暇もご飯を食べる暇もない日もあったりして
今日やっと一段落したところです。
オフの私と引き換えに
1日フル回転の洗濯機、頑張れ!

ではこれで最後の旅の話を...

バルセロナでの3日間
1日目はランブラス界隈を散歩
市場も散策して
海のほうへ向かって歩いていくと
コロンブスの像が現われる。
すぐ側の港からロープウェイに乗り
地中海を眺めながらモンジュイックの丘へ。

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天気も良くて、爽快。

2日目はゴシック地区を散歩。
ここはバルセロナで最も古い地区。
紀元前からアウグスト帝の支配下に長く置かれ
ローマ人の侵入もあった。
常に行政の中心部とされてきた地区だ。
現在もカタルーニャ州政府の立派な建物が目を引く。

ゴシック様式のカテドラル(大聖堂)

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同じゴシック地区にある
バスク料理のレストランで昼食
スペインの他の地方の料理が楽しめるのも
バルセロナならではのこと。
カタルーニャの一番美味しいものは
もうすでに堪能してきた後だし...

その夜にはフラメンコを観賞した。
アンダルシア・フラメンコバレエ団の
バルセロナでの劇場公演だったのだが
これがまた素晴らしくて
私は終了後10分は口が利けなかった。

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by tomo114t | 2006-10-23 22:29 | 旅行

カタルーニャバンザイ!な旅 5

エルス カサルスに滞在して
山のヴァカンスを満喫した5日間

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二代目愛車が大活躍
5人を乗せて走るのも結構な労力だろうに
とんでもないでこぼこ道を走ったり
崖の上にも登ったり
クリオ、お前は相当に株を上げたよ!

十二分に美食も堪能した。
しかし今回の何よりのご馳走は...

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by tomo114t | 2006-10-11 05:32 | 旅行

カタルーニャバンザイ!な旅 4

エルス カサルスから5kmほど先にある
ロマネスク様式の古い教会と修道院
今は廃虚だが
土地の人が皆、ここは見に行けと言うところ。

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建物も周りの空気も木々も
完全に時間が止まっているように見えた。


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by tomo114t | 2006-10-10 01:37 | 旅行

カタルーニャバンザイ!な旅 3

土曜の夜の食事も
エルス カサルスのレストランで...

最初の一品は
深皿で運ばれてきた。
中には豚バラ肉のローストと
その下に敷かれたジャガイモのピューレ
なぜ深皿?
これで完成ではないからだ。
テーブルでサービスされたのは
crema de cep セップ(ポルチーニ茸)のクリーム。

目の前で皿にタ−ッと注がれたクリームから
フワッとキノコの香りが立ち、鼻を刺激した。
まずはセップのクリームだけをスプーンで口に入れてみる。

完璧だった。

クリームだけで姿はなくても
セップの姿がくっきりと頭の中に現われた。
ミルクが多めのカフェオレのような色をした
濃厚ながら優しくもあるセップのクリーム
豚バラ肉はナイフを入れると中はトロトロで
表面はカリッと焼いてある。
セップとの相性も絶妙だ。

あまりの美味しさに
言葉を失った私達
5人が5人とも黙り込んでしまった。
暫しただ、食べるのみ。

次はバカラオの炭火焼き


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焼き茄子のピューレを下に敷き
洋梨のオイルマリネを中に挟み
ヘーゼルナッツのソース。

茄子の燻味
洋梨の酸味と甘味
バカラオの塩味と魚の旨味と香ばしさ
皿にのせるものひとつひとつに意味があり
美味な方向へと機能しているのだ。

クライマックスは
カサ・マイヤの鶏

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ここまで来るともう
「迫力負け」な感がある。

カサ・マイヤで去勢、肥育した若鶏
きめの細かい肉質、ナチュラルで甘味さえ感じる。
こんなに環境の良いところで育てば
肉も美味しくなるわけだ。

もうしばらく鶏は、いらない(笑)。

ポストレ

牛乳の膜から作ったジェラートを
桑の実のジュースを飲みながら、という
土地柄から生まれたような一品の後

このレストランで一番人気のあるポストレ
pastis poma アップルパイが最後の皿。
パイ生地がカリッと薄いのがよいし
リンゴの果実感もしっかりある。
自画自賛で恐縮ながらも
このアップルパイは本当に美味しいと思う。


というわけで
厨房陣に拍手!
ただ「美味しかったね」だけでは済まない
忘れられない食事となった。

旅の終わりにこの日を振り返って、皆が言った。
「あの日の料理はほんとに凄かったね、
みんな口が利けなくなっちゃったもんねえ」と。
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by tomo114t | 2006-10-03 21:56 | 旅行

カタルーニャバンザイ!な旅 2

エルス カサルスで
オリオールとマルタ、ロヴィ−ラ家の人々と
感激の対面を果たした母は
言葉がわからない上に感激で言葉がさらに出ず
ただ皆を抱き締めて「グラシアス!」とひとことだけ
それでも気持ちは十分に伝わったようだった。

木曜日に到着した私達は
金曜と土曜の夜の2回の夕食を
レストランのメニューにした。

多少身なりも整えて
1人の客としてきちんとテーブルに着くと
さあブログのために写真を...
なんてカメラを取り出す気にはなれなかった。
(料理の写真は過去のもの)

金曜の夜のメヌ−・デグスタシオ(コースメニュー)

まずはオリーブと
バスクの唐辛子と呼ばれる
自家畑のシシトウの素揚げをつまみながら
シャンパーニュで乾杯
この日は母の誕生日だった。

そして最初の皿が運ばれてきた。

セップ(ポルチーニ茸)のカルパッチョ
薄く美しくスライスされたセップに
上質のオリーブオイルとパルミジャーノ
小ネギと賽の目のミニトーストを散らして
上品で香しい秋の味。

次の皿は以前にも紹介した
自家畑のトマト、小玉ねぎ、インゲンに
イベリコ豚の生ハムを添えて。

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トマトの瑞々しさ
玉ねぎの甘さにハッとさせられた。

言ってしまえばただの野菜を
こんなふうに堂々と
ひと皿の料理として提供するのは
素材に自信を持っているからこそできることだ。
これらの野菜は
フォワグラやキャビアなどとは一線を画し
そしてそれらにも劣らない高級食材であると
座って賞味して、実感した。

これらと時を同じくして出された
ルバイヨンというキノコのオーブン焼き
パセリとニンニクの微塵切りを散らして
多めの塩とオリーブオイルを振り
高温でさっと焼く
旬のごちそう。

次の皿は
野菜のメネストラ

メネストラとは
スペインの北の地方
ナヴァラやバスク地方でよくある
野菜のごった煮のような料理のこと。

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エルス カサルスのメネストラは
茹でた野菜、生の野菜
変わりもやしや花なども取り混ぜた
より洗練されたフレッシュなメネストラ
アーモンドのジェラートを添え
ほのかな甘さとコクのある冷たいソースとして食べる。
体の中で細胞が活き活きとするような
ピュアな美味しさ。

そして次に運ばれてきたのは
皿にのせた調理前の
見たことのない2種類のキノコだった。
「うずらの足」という名前の黒っぽいキノコと
ぬめりがしっかりとある肉厚の白いキノコで
市場にもなかなか出回らない珍しいもの。
それをいつものキノコ狩り名人が持ってきたので
シェフが私達のために、と
とっておいてくれたのだ。

それらのキノコを
天然オマール海老とソテーした逸品は
その贅沢さに溜息が出たほど。

最後の肉料理は
カサ・マイヤの仔豚のロースト
ミルキーで柔らかい肉と
カリッと焼かれた皮
ジャガイモのピューレと
フレドリックという小さなキノコのソテーも敷かれていた。

ポストレは
乾果とチョコレートのテリーヌ
ヘーゼルナッツのクリーム
アーモンドのスポンジ
チョコレートムース
などが層になったテリーヌ
私の作。


という申し分のないお食事で...
「私達こんなに幸せでいいのかしら」
いいんです!


つづく。
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by tomo114t | 2006-10-02 22:50 | 旅行

カタルーニャバンザイ!な旅

日本からのお客様と共に過ごした8日間は
あっという間に過ぎてしまった。
エルス カサルスの人々との出会い
360度に広がる大自然の風景
このブログのタイトルの意味を
実感してもらえたようだった。

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エルス カサルスで4泊
その間は私の車クリオで周辺を散策し
ここでの食事を存分に堪能した。

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by tomo114t | 2006-10-02 04:22 | 旅行