ミシュランの星 私的考察


(この度は星獲得で
たくさんのお祝のお言葉をいただき
本当にありがとうございました!)

私達のこの店が
ミシュランの1つ星を獲得したと
知らせを受けたのは先週の水曜日
翌日の木曜日に
正式に世間に公表され
新聞、テレビで大きく報道された。
おかげでエルス カサルスは
1日中、全国からお祝の電話の嵐
星を取るって、凄い!

今年のミシュランガイドの評価は
スペインにとっては厳しい年だったようだ。
カタルーニャでは
星を獲得した店は5軒。
スペイン全土で
初めての星を獲得した店は15軒
その一方、星を失った店が10軒。

この「ミシュランの星」とは
一体何なのだろうか?

ミシュランガイドは
ただのレストランガイドではない。
世の中に、人々の心に浸透し
食業界をも越えて
強い社会的影響力を持っている。
しかもそれは目に見えない
何か巨大な力なのだ。

きっとこの「ミシュランの星」そのものに
古代ギリシャの美食の神でも
宿っているに違いない!
(って、そんな神様、いたっけ...)










ミシュランガイド東京版では
掲載店全てが星付き
いきなり3つ星が8軒。
これではきっと日本の人々には
1つの星の重さ、なんて
理解し難いだろうし
もしかして、2つ星をもらった店のシェフは
3つじゃなかったことを悔しがっていたりするのではないか。

勿論、日本という国は
料理、食材、料理人の技術等
世界でもトップレベルであるから
それを評価してのことでもあろうが
もしかしてフランス人の採点マンにとって
日本料理そのものが神秘的憧れの強いものであり
それが評価を高めたのかも知れないし
もしかして、あまり星をケチると
レストランガイドとして面白くなくなって
本が売れないから、ちょっと大盤振舞いしたのかも知れない。

なんて、東京版の事情に関しては全く無知な私が
偉そうなことは言えないので、この話は終わりにして

一方、ヨーロッパにおいては
1つの星がとっても重いもので
「星なし」と「1つ星」の店
「1つ星」と「2つ星」の店
さらには「2つ星」と「3つ星」
この差は非常に大きい。
2つ星以上のレストランというのは
当たり前だが、ただ美味しいだけでは駄目なので
星を増やすために客室やトイレや厨房を
豪華にリニューアルしたり
多大の労力とお金を費やしたりもする。
星を取りたいが星を持っていないシェフなどは
どうすれば星を取れるかと、星を持っているシェフに
真剣に相談に行ったりもするのだ。
なぜこんなにも皆が星に執着するのか?
やはり、この星は
世間を動かす大きな威力を持っているから。

私のボス、オリオール・ロヴィーラは
誰もが認める素晴らしい料理人だ
今までもそうであったし、これからも変わらずに。
しかしあの日、ミシュランの星を獲たあの水曜日
彼に対する世間からの目
彼の料理人としての人生が
非常にドラマチックに
大きく変わってしまったのを私は見た。

そう、この星は
1人の料理人の人生を変えるのだ。
反対に星を失い自殺したフランス人シェフもいた。
もしかしてその人は、星の評価を
レストランの評価ではなく
自分自身の人間の評価と履き違えて
生きる気力を失ってしまった
可哀想な人だったのではと思う。

そして今
私自身の意識も変わった。きっと同僚たちも。
もうこの店は星を持っているんだ、と思うと
客席に運ばれるものひとつひとつに
より完成度を高く、落ち度なく、と神経質になる。
これからやって来るお客は皆
「これが星付きの店の...」
という意識で食べるのだから。
努力の結果、星を獲て
獲たことによりまた店が育つ
それもこの星の威力。

ミシュランの星...
やはり私は「ギリシャの美食の神」説を信じたい!

(勿論そんな説、世の中には存在しませんよ
ここで私が初めて勝手に言ってる説ですが
私的考察だから、いいんです!笑)

これはこちらの新聞(LA VANGUARDIA )に載った記事


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どの新聞でも、星を獲得したどの店も
シェフ1人が大きく写った写真なのに対し
なぜかエルス カサルスだけが
2つの新聞でチーム全員の写真で紹介されたので
そのせいか、お祝の電話をくれる人々は
皆口を揃えたように
「チームの皆さんによろしく」
「チーム全員に、おめでとう」
などと言ってくださり、また感激だった。

さあ、今週も頑張ろう!


(長くなり失礼しました。
最後まで読んでくださった方、お疲れさま!)
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by tomo114t | 2007-11-28 03:30 | 食のこと
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