バルセロナにて


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私は今
バルセロナのレストランで週2日
研修仕事をしている。
もう3週目が過ぎた。

思えばイタリアでも
いつも片田舎での仕事、生活で
ローマだのミラノだので働いたことなんてなかった。
こんな都会の真ん中で働くのも
初めての貴重な経験だ。

上京2日間のレポートです...


火曜日
朝5時半起床。
家のすぐ近くのバス停から
6時45分のバスに乗り
8時半頃にはバルセロナ着。
途中、最寄りのバルで朝食をとり
お店へ向かう。

そのレストランは
Coure コウラという
(coure カタルーニャ語で、焼く、調理する、の意)
競争の激しいバルセロナの中でも
大変注目株のレストランである。
シェフのアルベルトは
2006年のカタルーニャに於ける
最優秀若手コックにも選ばれた。
(私のボス、オリオールも同じ賞を2004年に受賞している)
そして、よく働く腕のいいパティシエがいるというので
こうして私がわざわざ来ることになったのだ。

この店の仕事は時間も長くハードであるため
従業員が長続きしない。
今週私が厨房に顔を出すと
シェフのアルベルトとパティシエのジョアン以外は
皆違う料理人に入れ替わっていた。
何でも先週の土曜日に
3人がいっぺんに辞めたのだそうだ。
今日から入った新しい女の子
大丈夫かな...

私はジョアンのアシスタント
彼に言われるままに、いろんなものを仕込む。

まずはパン生地の仕込み
パンは3種類
バゲット、胡桃のパン、チャパタ。
(チャパタはオリーブ油と塩のきいた、皮はカリッと中はフカッとしたパン)
それに食前にスナックとして出すグリッシーニ
ひまわりの種入りのカレー粉をふったものと
黒オリーブ入りの2種類。

そしてポストレに必要な全てのパーツ
数種類のムース
ヨーグルトや蜂蜜のムース
ユーカリ風味のムースというのもあり
これはスライスしたパイナップルに巻かれて
パイナップルのカネロンというポストレになる。

さらにプチ・フール(食後の小菓子)
ジェラートのベース、クレマ(クリーム)の類...

ジョアンはほとんどのレシピを暗記しているので
私にもいつも口伝え。
「1ℓの牛乳に265gの砂糖、卵黄200g...」
ちょっと待ってー!と慌ててメモをとるが
あまりの早口についていけず結局何回も聞いてしまう(笑)。

日頃は「眺めのよい厨房」で働いているが
ここの厨房には窓がない。
しかしそのかわりというか
常にラジオがかかっているので
音楽が耳に入ってくるのは嬉しい。

あれこれしているうちに
営業時間が近づき
作業台や床を全部きれいに掃除して
つかの間の昼食の時間。
火曜日の賄いは
残り物がいろいろ入ったサラダ
残り物といっても
高そうなトマトやホワイトアスパラガスなど
結構いいものが入っていたりする。
それに白ブティファラと新ジャガのソテー
5分程でさっと食べて、再び厨房へ戻る。

私はアペリティーヴォ用の皿をきれいに拭いたり
プチ・フールの用意をしたり。
営業時はアペリティーヴォの一口前菜を出したり
ポストレを手伝ったりするが
ポストレのオーダーが入っても
まだその皿に何のパーツが必要か、がわからないので
横で見ているような状態だ。

最後のテーブルのポストレが出たら
再び隅々まで掃除して
昼の仕事は終わりになる。
17時半から30分ほど
近くのバルで休憩して
すぐに厨房へ戻り、夜の仕込み開始。

昼間に引き続き
言われたレシピ通りにあらゆる仕込みをしているうちに
そのうち夜の営業時間になり
アペリティーヴォやプチ・フールの準備...
最後のポストレが出たら
再び隅々まで、徹底的に掃除をして
終わると1時を過ぎている。








夜も遅いし歩く元気もないので
タクシーで帰宅。
火曜の夜の寝床は確保されている。
オリオールの兄
ジョルディの奥さんヌリアはバルセロナ出身で
彼女のお母さんが中心部のアパートに1人で住んでいるので
私が泊まれるように皆が頼んでくれたのだ。

バルセロナの滞在で
この家に帰るときほど
ありがたさに感激する瞬間はない。
もう鍵を借りて持っているので
主の寝ている家へそっとドアを開けて入ると
私のために用意された部屋には
きれいなシーツがピシッと張られたベッドと
その横に2枚のタオルが用意されている。
しかもそのタオルが
質が良くてとっても大きなバスタオルなので
非常に豊かな気持ちになるのだ。
シャワーを浴びて、ぐっすり寝て
翌朝7時半には家を出るので
主とは顔を合わせず終い。

朝の通勤は徒歩で
途中、バルを併設したパン屋へ朝食に立ち寄り
8時過ぎには厨房へ入る。
師匠ジョアンは毎朝8時には仕事を始めるので
私もそれに合わせての出勤だ。
またバゲット、グリッシーニ...と計ってはミキシングマシンに投入
次から次へとやることがある。
前日に新しく入った女の子は
やはりその日限りでもう来なかったので
ただでさえ仕事の多すぎるジョアンが
前菜の仕込みも全てやらなくてはいけない。
従って2日間だけとはいえ
私が彼のポストレの仕込みをカバーしなければいけない状況で
「トモコ、急げよ!」と煽られる。
エルス カサルスでは
私の仕事はシェフからも放任なので
こんな風に、多少お尻を叩かれながら働くのも
必要なことなのだろう。
急いで、でもひどいものを作ってはいけないので焦らずに
軽く必死な状態で、あっという間に時間は過ぎる。

水曜の昼の営業が終わると私の仕事も終わり
「今日は助かったよ、ありがとう」と
ジョアンが私に言った。
ではまた来週火曜日に、と皆に挨拶して店を出た。

自分が来たくて来ているのだけれど
仕事が終わるとやっぱり嬉しい(笑)
もう夏の日射しのバルセロナの街を
バス停に向かって、てくてくと歩きながら
素敵な店のショーウィンドウを眺めたり
道行くおしゃれなご婦人をチラチラと観察したり
通りすがりのバルでビールを飲んだりと
(ええ、仕事帰りに一杯ひっかけるオヤジです)
つかの間の時間を楽しんだ後
バスで1時間半の帰宅の途につくのだ。
超熟睡なのは言うまでもない...

さあ木曜からは自分の仕事
いつもの慌ただしい
エルス カサルスの週末が待っている。
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by tomo114t | 2007-05-11 06:11 |
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