大きな失敗をした。 本当に厨房の仕事というのは その日その時その瞬間になるまで 何が起こるか誰にも予想がつかないものだ。 時には少々苛酷な自分との戦いでもある。 土曜日の昼 大抵の週末がそうであるように レストランの大小のテーブルのオーダーに加え ホテルの宿泊客のメニュー(定食)のオーダーで あっちへ走りこっちへ走りしていた。 時間のかかるポストレは 食事前に予め注文を受けるのだが その時間のかかる一品のオーダーが入っていたのを 皿をもう出さなければいけないときになって初めて知った。 お客が後から頼んだのか サービスの人が書き忘れたのか 私が見落としたのかは判らなかったが とにかく時間がかかるものを急いで出さなければならず 焦って慌てて間に合わせようとしたため 「お客を待たせた上にひどいものを出す」結果となってしまった。 割れた風船のようにぺちゃんこのボラッチョ(ババのようなブリオッシュのシロップ漬け) 良い状態でないのは誰の目にも明らか しかしシェフはやり直しを許さなかった。 「これ以上待たせるよりもこれを出して値引きしたほうがましだ」と。 ここのところずっと私の仕事は順調で シェフからもいつも誉められていたので 久しぶりの屈辱に大ショックで ワア−ッと大声を挙げて泣いてしまいそうになった。 しかし営業中に皆の前で泣くなんて絶対にしたくなくて 私は涙をこらえるために必死で唇を噛んでいた。 「唇を噛んで涙をこらえる」なんて 昔の歌の歌詞に出てきそうなシーンだけれど それは本当にあるんだとこのとき実感した。 あまりにも強く噛んで唇が切れるかと思ったほどだ。 営業が終わったらパンダと一緒に森の中へ行って 誰もいないところで思いきり泣くつもりでいたが 休憩も食事もせずにひたすらトリュフチョコレートを作っていたら それで涙の素が消えてしまった。 もう同じ過ちは二度と一生するものか。 しかしその翌日に そんなことも吹き飛ぶ楽しい企画が待っていた。 (もう終わってしまったけれど 残念) エルス カサルスのいつものメンバーで バスク地方へ冬の遠足、言うまでもなく「食」目的の。 というわけで次回は カタルーニャじゃなくて「バスクバンザイ!」な話を...
by tomo114t
| 2006-03-02 07:24
| エルス カサルス
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